谷崎潤一郎の小説「春琴」と随筆「陰翳礼讃」(いんえいれいさん)をモチーフに作られた舞台作品で。
2008年に初演、2013年に再演で両方観に行った。
数日前、なんの脈絡もなく、その舞台をふと思い出した。
イギリスの演出家のサイモン・マクバーニー演出。
深津絵里が主演の舞台。
こんなにアイデアに満ち溢れ、唯一無二の舞台作品に出会ったのは初めてで圧倒された。
物語というか、内容は説明できる程、覚えてはいない。いつもそうだ。
演出を強烈に覚えていて。
俳優たちが木の棒を使って、舞台上の背景を作っていく。
よく舞台でやりがちな方法で、舞台ってそうゆうものだと思っていた。
そして少しその押し付けがましさが苦手だった。
しかしサイモン・マクバーニーの演出はその演出しかありえない程、舞台と自分の想像力を繋げる。
俳優の技術の高さはさる事ながら、脚本、照明、音響が同期している。
それこそが演出で、これが本物の演出かとクラクラした。
この舞台の凄さは脚本、照明、音響ももちろんあって。
脚本は、確かナレーションの劇中劇の中で物語が展開していく構造だったと思う。
その物語展開が秀逸だった。
それ以上の詳細は覚えていない。
照明の陰影の世界観。
音響と舞台の親和性が最高だったのを思い出す。
本物の才能や芸術に出会うのが大切だと改めて思う。
本物は圧倒的で、他を寄せ付けない。
世の中にはたくさんの芸術品や作品があるが、「本物と本物以外」でしかないと思う。
それを知ることが出来たのが良かった。
本物は一生残り続ける。
この記事へのコメントはありません。