@AUTOUR
お店に入ると完全に現代アートの展示で、大海原に放り出されたような、これは作品と対峙するのが一筋縄では行かないぞと笑ってしまった。
すると、店主さんの奥さんがキャプションのついた3枚の紙を持ってきてくれた。
1枚目が店主さんの作品に対するイメージと作品の価格。
2枚目がどの作品かわかるように、視覚的に誰でもわかるような形を文字で記してある。
3枚目が店主さんの奥さんの作品に対してのイメージが手書きで記されている。
この3枚がかなり面白くバランスを取っていて、作品の見方に方向性を与えてくれる。
そして僕はどんなイメージを持つのか? という流れではなく、僕は「価値って何だろう?」と考え始めてしまった。
目の前の作品をインテリアとして見ることもできるし。
日常的に使用するものとしても良いし。
どうゆう意味で僕はこの作品に価値を見出すのか?
そしてどのような価値をつけると自分がワクワクするのか?
それが僕が作品と対峙する糸口になりそうだ。
自分の中で価値を発見していく作業は、まず自分に取って価値のあるもの、ことって何なのか知らなくちゃいけない。
目の前の作品で、何となく、惹かれるものをピックアップする。
造形的に好きなもの。
案内の紙を見た上で気になるもの。
そんなことを手がかりに自分にとって価値のあるものを選んでいく。
しかし、価値がないと思っていたものも、何かのヒントを与えてあげると価値が出てくるのではないか、ということも浮かんだ。
だから価値を感じないものを選ぶという方法も面白いと思った。
それだと途方もなくなってしまうので、今回は好きだと思うものを選んで行こうと思った。
改めて好きなものって造形的に選んでいることが多い。
自分の感性、経験を駆使して作品を眺めていく。
少年がブリキのカゴを選んで購入していた。
とても良いものを選んでいた。
さすが少年と感心した。
少し疲れてきたので、木のベンチに座ることにした。
今回の展示で改めて「自分の思う価値って何だろう?」っと考え続けた。
その問い自体に価値があったので、それを込めた作品を購入しようと思った。
木のベンチから見える展示風景は輪が目の前に揺れていて、輪から覗く風景が美しい。
そして何となく、鉄の細い棒にしようと思った。
それを最初にイメージしたので、それにしようと思った。
作品のタイトルと見ると「最小公倍数」。
僕にとってのこの展示を言い当てているようで、笑ってしまった。
作品たちと自分の最小公倍数を見つける旅だったなぁと。
公約数ではなく公倍数。
そして最大ではなく最小。
目の前のものと共鳴する最小の公倍数をずっと探っているような展示でした。
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