今年も九州へ行く機会を友人が作ってくれた。
僕の生活は友人が機会を作ってくれなかったら、仕事以外のことで遠出することはほぼない。
友人は転勤で九州を離れるという。
そのため九州に行く機会はなかなかないだろうと思い、妙に気合いが入ってしまった。
車で九州に行く。
期間は10日間。
もはや旅行ではなく旅。
どうなるか想像もできなくて途方もないけれど、そわそわワクワクする。
旅の始まりは、おばあちゃんへの挨拶だ。
当たり前のことだけど、誰にでも死はすぐ隣りにあって、最近それを身近に感じる。
近い人の死、自分の死も含めて、やはり何が起こるかわからない。
そんな さみしさは常にあって、それを覚悟しなくちゃといつも思う。
旅のテーマは無事に帰ってくることだ。
眠くなったら、その場ですぐに眠る。
食事はしっかり食べる。
とにかく無理をしない。疲れたら休むことを最優先。
それを心して出発した。
大阪の阪九フェリー乗り場の近くでテオ・ヤンセンの展示が開催中だった。
テオ・ヤンセンの超論理的思考で、作品(ビースト)を作る全てが美しい。
数年前に三重県立美術館でテオ・ヤンセン展がやっていて、再会できたのは感慨深かった。
当時は単純に得体の知れないものの動きに驚かされた。
再度見ると、テオ・ヤンセンの製作過程の挑戦する姿に芸術家の凄まじさを感じて、それ自体がアートだった。
そして、どうして僕はこんなに芸術に執着し、魅せられているのかと同時に考える旅になるだろうと思った。
何か深刻な内面に籠るような気分が漂ってきた。
しかしそんな気分はフェリーに乗り込んで吹っ飛んでしまった。
目の前に初めてのものが現れると興奮せずにはいられない。
それが大きくて果てしなくて、美しくて、それだけで気分が晴れる。
天気が良く、夕日が綺麗で、純粋に光を写すのが楽しくて。
海面はとても穏やかで、絵画のような色彩で。
今日は早く寝ようと思わなくても、すでに眠っていた。
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